WiKicker をオフラインで簡単にインストールできるようにしたい。 WiKicker 自体は
perl Makefile.PL make make test make install
で簡単にインストールできるのだが、事前に CPAN にある依存 Perl モジュール(とそれらが依存している Perl モジュールら)をインストールしておかなければならない。
オンライン環境では CPAN.pm を使って芋蔓式にインストールできる。 WiKicker は次回のリリースから Module::Install を採用するので、perl Makefile.PL 時にそれらを行うことができるようにもなる。
しかしオフライン環境になると、話は変わってくる。
普通にやろうとするとあらかじめ依存関係を全部洗い出して事前にダウンロードしておき、依存関係の順番を考えながらインストールしていかなければならない。
これがかなり面倒。しかも各モジュールのバージョンアップにともない、その時その 時で変化する可能性があるので、適宜確認しなければならない。
でれば CPAN.pm の力を借りたい。
CPAN.pm はインストール時に $CPAN::Config->{keep_source_where} (通常 ~/.cpan/sources) に溜め込むので、これを CD-ROM 等に書き込んでオフラインインストールで使用することができる (cf. perldoc CPAN)。
だいたいはこれでうまくいくのだが問題もあって、この方法だと(WiKicker などの)野良パッケージを、うまく一緒にすることができない。
野良パッケージを扱うには CPAN::Site、あるいは CPAN::Mini::Inject あたりを使えば良さそうだ。
今回はまず、CPAN::Site での手順を調べてみる。
~/perl-5.8.8 以下にクリーンな Perl 5.8.8 をインストールしてインストールセットを作成していく。
rm -rf ~/.cpan ~/perl-5.8.8/bin/perl -MCPAN -e shell cpan> install LWP cpan> install CPAN::Site cpan> exit
これで CPAN::Site が使えるようになるとともに、CPAN::Site と LWP および依存モジュールのソースアーカイブが ~/.cpan/sources 以下にたまる。
WiKicker のインストール中に libwww-perl を途中で入れると CPAN.pm が使ってこともあってかうまくいかないので、先に一緒に入れてしまう。
野良パッケージら (今回は WiKicker のみ)を含んだ ローカル pseudo CPAN サーバを作成する。
mkdir -p ~/public_html/CPAN/authors/id/N/NA/NANEY cp WiKicker-0.xx.tar.gz ~/public_html/CPAN/authors/id/N/NA/NANEY ~/perl-5.8.8/bin/mkpackages ~/public_html/CPAN
CPAN::Site に含まれている mkpackages を使うことで、CPAN::Site が参照することのできるインデックスファイルが作成される。
次に ローカル CPAN サーバと、CPAN (ミラー) からパッケージを自動ダウンロードしてインストールする。ここでは CPAN.pm のかわりに CPAN::Site を使用する。
~/perl-5.8.8/bin/perl -MCPAN::Site -e shell cpan> o conf urllist unshift http://localhost/~myname/CPAN cpan> reload index cpan> install WiKicker cpan> exit
ここでローカル CPAN サーバを file:/// 等で指定すると、そこから読みとったファイルは ~/.cpan/sources/ 以下にコピーされないので一箇所にまとめることができないので注意 (かなりはまった)。
これが終わると、WiKicker とそれに必要なファイルが ~/.cpan/sources にたまる。
これを適宜アーカイブして保存する。
別の環境で例えば /usr/local/perl-5.8.8 にインストールされた Perl に WiKicker をオフラインでインストールするとする。
先の工程で作成したファイルセットが /tmp/CPAN においてあるものとする。
/usr/local/perl-5.8.8/bin/perl -MCPAN -e shell # 初期化でオフラインのため CPAN ミラーの選択ができずに URL の入力を # 求められたところで file:///tmp/CPAN を指定 cpan> install LWP cpan> install CPAN::Site cpan> exit
まずは以上で CPAN::Site が入るで、CPAN::Site で shell を起動しなおす。
/usr/local/perl-5.8.8/bin/perl -MCPAN::Site -e shell cpan> install WiKicker cpan> exit
これで /tmp/CPAN から芋蔓式に WiKicker がインストールされる。
Debian のパッケージリポジトリなどとは違って、CPAN は基本的に「一つのリポジトリおよびそのミラー」という概念しかないようである。 したがってモジュールのインデックスファイルも1組しかなく、複数のサイトから異なるモジュールセットを配布するということができるようになっていない。
これに対し、自前パッケージ群用にも1セットインデックスファイルを作って扱えるようにしようというのが CPAN::Site である。
これを用いると「もう一つのリポジトリ」を扱えるようになるが、逆にいうと利用する場合は CPAN::Site をインストールしなければならないということでもある。
Naney (なにい)です。株式会社ミクシィで SNS 事業の部長をしています。
nDiki は1999年1月に始めたコンピュータ日誌を前身とする Naney の Web 日記(兼パーソナルナレッジベース)です。ちょっとしたノートは nNote にあります。
※内容は個人的見解であり所属組織とは関係ありません。