オブジェクト指向プログラミングではほとんどの場合に必要となるアクセサについては命名規則にいくつかのパターンがある。
1 番目は Java プログラミングでよく使われる。 またそれ以外でも広く使われている形式だ。 get と set 命名規則的に対になっていて規則的には美しい。 getter と setter を別々に検索するのも用意だし、プログラミング時にも誤解を招きにくい。
ただし例えば x、y、z のような短い名前の属性の取得の場合 obj->get_x などと、うるさい感じになってしまう。また obj->get_foo->get_var なども obj->foo->var などに比べてすっきり感がない。
2 番目は Perl でよく使われる。C# のプロパティへのアクセサは getter と setter が同じ名前になる。 呼び出し側ではコードが短くなりすっきりする。
ただし Perl の場合は引数の数を動的にチェックするために効率が若干犠牲になるのと、setter の機能が無いアクセサに引数を渡してもエラーにならないため見逃しやすいバグが潜んでしまう可能性があるなどの問題もある。Perl ベストプラクティスではこの形式ではなく1番目の形式を勧めている。
3 番目はあまり多くないかな。 getter に get がついていると個人的には重い印象を感じる。 getter を属性名だけにすることですっきりするとともに、setter は set_ と動詞がつくことでオブジェクトに働きかけるという印象を残すことができる。
命名規則が非対称なのでちょっと気持ち悪いといえば気持ち悪い。
Google C++ スタイルガイドではこの形式を採用している。
個人的には3番目がコードの見た感じにもすっきりしていて読みやすく、また getter と setter の区別も(1番目ほどではないにせよ)つきやすいので良いのではないかと思う。 2番目もよく使っていたのだが、しばらく3番目にしてみようかと思った今日このごろ。
昔は例外処理機構(try で catch で throw、throw)を好んで使って設計・実装していたが、最近はできれば使わない方がいいかなと思っている。 あれは刃物だ。気違いに刃物だ。宇宙戦艦ヤマトだ。
全体が見渡せるか管理下における規模のプログラムでは有効だが、そうではない場合はあれはヤバイ。面倒。そして落ちる。
Joel Spolsky の More Joel on Software「間違ったコードは間違って見えるようにする」に例外処理について書かれているけど、理由としてはだいたいその主張に近い。
Google C++スタイルガイドも C++ の例外処理機構を使わないとしている。
呼び出し先ツリーを全部辿らないとどんな時に何が throw されてくるかわからない。
ドキュメンテーションコメントにおいてメソッドが何を throw するか説明されているからそれを見ればいい? それって信用できる? 自分は今書いているメソッドの呼び出し先で throw される可能性のある例外とメソッドで throw する可能性のある例外を、そのメソッドのドキュメンテーションコメントに毎回きちんと書いてる? コードの変更を反映させてる?
え? throws clause?
今書いているメソッドで、例外を throw したくなった。 でもこれってきちんと catch されるの? 呼び出し元ツリーを全て確認して、必要があれば catch を追加しなければならない。さもなけらば……落ちるよね。
え? とりあえず全ての型を catch して中の例外処理が空になっているそのブロック何?
例外処理機構を使うと、頻繁に深くコードをチェックしなければならなくなる。
いや便利だしスマートに書けるし、言語/ライブラリ的に使わざるを得ない時もあるし、使う時は使うけどね。
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以前株式会社ミクシィで広報だった方が「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング」という本を Facebook で薦めていたので読んでみました。
文章を書く準備段階の「構造を考える方法」、そして「読みやすく分かりやすい文章に仕上げていく方法」が本書で解説されています。
第1章では「構造シート (p.34)」を使って「テーマ」と「話題」を決めていくやり方を説明しています。「話題」を箇条書きで列挙し、それを眺めて「テーマ」を決定する。次に「話題」の順番を考えて左に数字を書く。そして番号順に「話題」を並べ替えたあと「話題」の右側に3段階の優先度を ABC を書くという流れでまとめていく方法です(このあと「話題」の取捨選択がきます)。
きちんとアウトラインを決めるべきと思いつつも、上からざっと書いていって質の低い文章を書きがちなのでこれは実践していきたいです。
続く2章以降では基本的な文の構造の正しさの話から文末のバリエーションや漢字と平仮名のバランスなどの読みやすさの話まで網羅的に説明されています。個別には文章術などのコラムなどでみかけたりしますが、こうしてまとまっていると振り返って参照しやすく助かります。ここはチェックシート化して普段からチェックしたいところです。
例えば「することができる」などの「翻訳文体」はつい書いてしまいがちなので、これを機会に意識していくことにします。
「日本語の作文技術」で学んで推敲の際にはよく基準にしている「係り受けの距離を近づける」「修飾語句は大きく長い順に」もきちんと説明されていますので、これから日本語の書き方について本を推薦するなら本書が良いと感じました。
お薦めの1冊です。
ライティングアプリ iA Writer 5.6 でスタイルチェック(Style Check)機能がついた。現時点でビルトインされたパターンは英語・フランス語・ドイツ語のみで日本語は含まれていないが、環境設定からカスタムパターンが追加可能である。試しに「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング」(紹介)を参考に以下のパターンを追加してみた。
文章を書いていてこれらのパターンが出てくるとエディタ上で打ち消し線表示される。「という」は結構使っているようで、書いた瞬間に打ち消し線が入って「あっ」と何度もなった。過去の記事でも「という」が頻出していた。無意識のうちに使いがちな避けた方が良いパターンにすぐ気付けるのいいね。徐々にパターンを増やしていきたい。
なかぐろ。中点(なかてん)。
例外はありとしつつ「姓名の間に中黒」「2語の複合語なら入れない」「3語以上の複合語なら入れる」「固有名詞と普通名詞の組み合わせなら入れる」が優勢か。
複合した語であることを示すための,つなぎの符号の用い方については,それぞれの分野の慣用に従うものとし,ここでは取決めを行わない。
人名について:
2 外国人(漢字名を除く)の名と姓の間、「サー」などの継承と姓名の間には中点を使う。
外来語について:
3 外来語、外国の地名、建造物名称などは原則として中点を入れない。
ただし次の場合は中点を入れる。
中黒または半角スペースを用いてカタカナ語を区切って表記します。
固有名(外国人名)の区切り方法は、一般カタカナ複合語の区切り方法とは別に定める必要があります。通常、固有名(外国人名)の区切りには中黒を使います。
テクニカルコミュニケーション研究会編、文章・用字用語ハンドブック、日経BP出版センター
入れ方は、マニュアルの性格や会社の方針を考えて決めます。
[ Naney のスタイルガイド ]
2003年6月に『日本語の作文技術』を買って読んでから18年。「係り受けの距離を近づける」「修飾語句は大きく長い順に」などのポイントを学んだことが、分かりやすい文章を書くのに大いに参考になっている(体得までは至っておらず、この文章自身まだまだではあるけれども)。
分かりやすい文章の書き方について参考となる本として『日本語の作文技術』をたびたび人に薦めてきた。一方で、民族と言語について著者の強い思いが考えの背景として述べられている点や辛辣な表現がある点などから、スルー力が育っていない中高生には手放しで薦めにくかった。
2004年10月25日に中学生を想定読者とした『中学生からの作文技術』が刊行されていたのを知ったのはいつだったか。作文技術のエッセンスをより平易に説明された1冊のようなので、これなら薦められるのではと今回自身で読んでみた。
なるほど『日本語の作文技術』に比べてかなり読みやすい。要点がまとめられているので、大人にも『中学生からの作文技術』を先に読むのを薦めた方がいいぐらいだ。
主義主張も『日本語の作文技術』よりマイルドなので、これなら中学生でも自分の頭で判断しながら読めるだろう。
学校で習う文法や役物の使い方と本書での説明では異なる部分があるかもしれない。文法について指導要領とは切り離して考える、学校で書く文章は指導要領のルール(スタイルガイド)に合わせるなど本書を鵜呑みにしないことも大切だ。語順の考え方など勘所を学べれば良いと思う。
Naney (なにい) です。株式会社MIXIで SNS 事業の部長をしています。
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