セガグループ・東急ハンズ・キングジム・井村屋・タカラトミー・タニタの企業 Twitter アカウントを運用している中の人にスタンスや事例などを伺い、1冊にまとめた本。
各社「距離感」「共感」「コミュニケーション」といったところを重視されていた。ストレートな宣伝は Twitter ではうざったく感じられることを理解し Twitter というソーシャルメディアの場に対して「邪魔をしているかもしれない」ということに注意を払いながら、ブランディングとファン獲得に取り組まれていた。
運用面では、セガグループの中の人が「編集会議」の実施を勧めていたのに目が止まった。しっかりめの運用スタイルではやはり編集会議は意味があるんだなと。
その他すぐに参考にできそうと思ったのは以下。
そういえば企業アカウント・個人アカウントどちらも、挨拶 Tweet されているアカウントはなんだかんだ印象に残っているな。
リアルタイム感を出す点もとても納得感があった。個人的にももうちょっとリアルタイム感意識したいな。撮った写真を家に帰って RAW 現像してから後日 Tweet するようになってから、ライブ感が無くなり気味だなとちょっと思案していたところだ(個人アカウントなので好きにすればいいのだけれど)。
企業内でどういう変遷を経て今の Twitter 運用になったかなどについても各社語られているので、中の人がコミュニケーションする形の企業 Twitter アカウントを目指したい人にはいろいろ参考になる1冊だった。
なお本書はお互いにコラボレーションされているような企業に声をかけてまとめられており、この運用が唯一の正解ではないことには注意が必要だ。
『シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略』では中の人のカラーを出さずに顧客が本当に必要としている情報をきちんと届けることを重要視している情報発信メインの森美術館の運用について知ることができる。
Kindle版、黄色いハイライトが引かれてとても邪魔なのが残念。読者として気になったところに自分でハイライトしたいので、著者として重要アピールは太字にしてくれていると嬉しいのだ。
[ 読書ノート ]
プロダクトの利用を習慣付けさせる要素についてさらに知りたくて『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』を読んでみた。
行動の習慣付けモデル「フックモデル」を解説している書籍『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』は、どのようにすれば顧客に習慣的な利用を促しプロダクトを成長させられるかという視点で書かれていた。一方本書では、
物質の摂取を伴わずとも、強い心理的欲求を短期的に満たし、その一方で長期的には深刻なダメージを引き起こす行動に抵抗できないとき、それを行動嗜癖と呼ぶのである。
と行動嗜癖に警鐘を鳴らす立場で書かれている。自分自身 Twitter を日常的にチェックしていること、 Twitter 以外の利用も含めスマートフォンを頻繁を使っていることはまさに行動嗜癖によるものだ。最近、家に帰ると毎晩 TETRIS 99 をやりたくなるのも同様に行動嗜癖だろう。
「ソーシャルメディアと行動嗜癖」「スマートフォン・タブレットと行動嗜癖」についての
ソーシャルメディアで過ごす時間が長い被験者は、そうでない被験者に比べて、集中して課題をこなす能力が低くなっていた
や
スマートフォンは、たとえ使っていなくても、そこにあるだけで人間関係を損なうのだ。スマートフォンの向こうに世界が広がっていることをつねに思い出しているので、目の前の会話に集中できない。
といった話にはもちろん思い当たる節があり、読んでいるとなかなか重い気持ちになってくる。
「オンラインコミュニケーションと行動嗜癖」という点では、
人間は、自分の行動が他人に影響を与える様子を観察することで、他人への共感や理解というものを学ぶ。目の前で反応を見られなければ共感力は育たない。
と、オンラインばかりではコミュニケーション力の成長に大きな問題が生じると言っている。これは子供だけでなく、大人のコミュニケーション力向上あるいは維持にも言えることだろう。
他人と向き合い、顔と顔をあわせ、会話を続けていくことはどういうことなのか、学ぶ機会が生じない。キーボードをスタッカートで叩く会話のリズムは--ウェブカメラを通じた交流も--実際に顔をあわせた会話のリズムとは大きく異なるし、情報を伝え合う範囲も極めて狭い。
昨年から仕事でのコミュニケーションのほとんどがオンラインになった。不可逆な社会変化によりオフィスワークとリモートワークのハイブリッドなワークスタイルは今後も続くだろう。「対面よりもビデオ会議」「ビデオ会議よりも通話会議」「通話会議よりもチャット」と、「効率的」「十分」という意見のもとに帯域の狭いコミュニケーションばかりが選ばれていくことで、ただでさえ低いコミュニケーション力が気が付かないうちにひどい事にならないかと懸念している。
オンラインだけで過ごしていると、自分の一部がしなびていくんです
忘れないでください。ピクルスになった脳は、二度とキュウリには戻りません
組織の創発・イノベーション創出のためにはオフィスワークかリモートワークかなどと考えを巡らす以前に、まずは自身の脳がしなびていかないようコミュニケーションを大切にしていかねばと感じた。
本書では「行動嗜癖の6つの要素」として
を挙げ、それぞれについて章を割いて説明している。また最後の方の章ではゲーミフィケーションの3つの要素として
が挙げられていた。プロダクトのリテンション改善には、これらが参考になるだろう。ユーザーに価値を提供していくためという大前提を忘れずに得られた知見を活かしていきたい。
[ 読書ノート ]
東京2020オリンピック最終日。朝食後にテレビをつけ、 7:00 にスタートした男子マラソンで服部選手が73位でフィニッシュするのを見届けた。
昼食の時にテレビをつけたら今度はバスケットボール女子で日本がアメリカと決勝戦中。銀メダルを獲得。チャンネルを変えたらNHK2020ソング 「カイト」にのせた日別のダイジェストが流されていたので、それで会期後半を振り返った。
閉会式は 20:00 から。交響曲第9番が流れて年末ぽかったり、東京音頭が流れてお盆ぽかったりといろいろミックスな感じ。2024年パリオリンピックの引き継ぎでの映像は、歴史を感じさせるパリ市街・エッフェル塔そばの広場での賑やかなイベントの様子など魅力的な開催を予感させ素晴らしかった。
直前まで開催中止の声が多かったように感じられた今回のオリンピック。目にする情報から考えるに組織運営・意思決定・発表の仕方など多々問題はたしかにあったのだろう。
一方で完璧を求める声ばかりが大きくフォーカスされがちであったとも思う。ちょっとした声がソーシャルメディアやマスメディアで増幅される時代になったことや、新型コロナウイルス感染が続くなかで不安・不満が積もってきている世の中という背景がそうさせているのだろうか。
完璧を求める社会になると何もかもが停滞していき、巡り巡って全員が生きづらい社会になってしまう。完璧ではない人間が、他者にどれだけの完璧を求めるべきなのか。
批判のあり方について考える機会にもなった大会であった。
別のソーシャルメディアから投稿連携設定で自動的に投稿されたたものばかりのアカウントは最近そっと友達から外している/アンフォローしている。相手の気配が感じられないというのがやはり虚しい。連携元のソーシャルメディア側で同じ投稿を拝見していて重複して目にする無駄感もある。
過去に何度も投稿連携を設定したり解除したりしてきた口ではあるので言えた義理ではないのですけれどもね。
多くのソーシャルメディアはユーザー集めの段階では他のソーシャルメディアからの自動投稿機能を提供し、成長したところで廃止している。ですよね。
[ 投稿連携 ]
社内の CS 部門の推薦図書リストを見せてもらった時に、ビジネス書が並んでいる中で目についたのがエッセイ(あるいはノンフィクション)である『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』だった。ソーシャルメディアでもたまに目にすることがありそのうち読みたいと思っていた。
この間チェックしたら文庫本化されて買いやすくなっていたので購入して読んでみることにした。1章1エピソードで空いた時間に少しずつ読み進められる構成だ。
人種の違いや貧富の差、性的多様性などからくる対立と分断について、中学生になった息子を育てる著者が英国での生活の中で感じたことが本書で綴られている。特定の思想に寄ることなく書かれているので反論が思い浮かんでイライラすること無く、多様性についてニュートラルにぼんやり考えながら最後まで読んだ。
良いか悪いか決めつけず多様性を受け入れるというのはこういうことだろうか。様々な人と接する CS 部門の人が薦める理由もそこにあるのかもしれないな。
[ 読書ノート ]
仕事用と個人用で Google Chrome プロフィールを分けていて、後者の方だけ Twitter でログイン状態にしている。
しかし仕事用 Chrome の方でも Twitter にログイン状態になっていないと、 Twitter アカウントを確認したり Twitter 検索したりする際に何かと不便だ。かといって Naney でログインしておくと、画面共有した際に個人的なタイムラインが見えちゃったりしてよろしくない。
なので自社やソーシャルメディアに関連する Tweets やアカウントをウォッチする目的用に別の Twitter アカウントでログインしておくことにした。
以前作ったけれど使っていなかったアカウントにログインし、プロフィール画像・ヘッダー画像を設定。投稿・シェアした際にステルスマーケティングと受け取られないよう配慮し、名前と自己紹介に社名を入れておいた。
Naney とは別に2011年9月に登録してあった Twitter アカウントを、仕事関連の Twitter 閲覧用に11月16日に体裁を整え直して使い始めている。こそこそ閲覧だけするアカウントというのも何なので、ミクシィやソーシャルメディアに関連する情報をシェアしたりもしてみることにした。
シェアや Retweet だけだどあまりにも中身が無いアカウントすぎだし、なにか自身でもテキストを書いて投稿しておこうか。
少し前から書いてみている部内 Web 日記のうち、業務外の雑感部分をmixi日記に書いてみんなの日記に公開(インターネットに公開)し Tweet でシェアするのがいいかな。で、部内 Web 日記にもリンクをシェアしておくと。
東急ハンズ 公式 Twitter アカウント @TokyuHands 担当者(中の人)による、東急ハンズ流企業 Twitter アカウントの運用についての本。
Twitter はコミュニケーションツールであるとして、コミュニケーションを通じたブランディングを目的としてどのように取り組んでいるかが本書では紹介されている。Twitter 特有のスラングには解説が添えられており Twitter に詳しくない人でも理解しやすい。
友達感・リアルタイム感など、フォロワーとの関係性とコミュニケーションを大切にして運用していくためのポイントが盛りだくさんだ。特に同様のスタイルを目指している企業 Twitter アカウントの担当者にとって大いに参考になる1冊だ。
本書を参考にしても、中の人の個性を出していけば @TokyuHands とはまた違った愛されるアカウントになっていくだろう。
セガグループ・東急ハンズ・キングジム・井村屋・タカラトミー・タニタの企業 Twitter アカウントを運用している中の人にスタンスや事例などを伺いまとめた『自由すぎる公式SNS「中の人」が明かす 企業ファンのつくり方』(記事)では他のコミュニケーション重視の他の Twitter アカウントの話も書かれているので合わせて読むのがおすすめ。
Instagram や Facebook などソーシャルメディア毎に特性があり、SNS 運用にはそれぞれに合った適任者が必要だと本書では述べられている。
つまりはコミュニケーション重視の Twitter アカウント運用にも担当者の向き不向きがあるという訳ではある。『シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略』(記事)で述べられているようなスタイルなどもあるので、ブランドと担当者に合わせてアカウント運用方針を立てていくのがベターだろう。
[ 読書ノート ]
Naney (なにい)です。株式会社ミクシィで SNS 事業の部長をしています。
※本サイトの内容は個人的見解であり所属組織とは関係ありません。