2018年に読んだ『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』(原題 Hooked: How to Build Habit-Forming Products)の読書ノートを書いていなかったのでハイライトしたところをざっと読み直した。
人は意識的な思考をほとんど伴わずに状況的なきっかけによって自動的に行動をとるようになることがある。プロダクトがそのような習慣性を作り上げることがあれば、ユーザーに継続的に利用してもらえる。さらに習慣化されたプロダクトは価値のあるものだと判断しより依存度が高まっていくのだ。
4つのステップを踏むことで人間の行動を習慣付けさせるのが本書の提唱する「フックモデル(The Hook Model)」だ。*1
がその4つのステップである。
本書を初めて読んだ時「インベストメント(投資)」がステップに含まれていることに驚き、そして経験的に非常になるほどと思ったのだ。自分は Tweet を見やすくするよう Twitter 上で日々リストを見直している。フックモデルではこれが「ユーザー自身が自分の体験を良くするための行動(インベストメント)」だというのだ。なるほど、習慣的に使っているプロダクトには実際にいろいろ投資しているなと驚いた。
本書では各ステップについてそれぞれ章を割いて、それぞれ「どのようなタイプのものがあるのか」「どのような心理的な背景があるのか」「どのような事例があるのか」を通して説明されている。
特にネットサービスの継続(Retention)を高めていきたいと考えているプロダクトマネージャーにとって読んで損の無い1冊だ。
[ 読書ノート ]
(順に新・旧)
プロフィール写真を新しく撮って8年ぶりに更新した。
前回はせっかく滅多に着ないスーツを着た機会にと撮影してプロフィール写真にしたのだが、もしかしたら面識のない方には「ビジネスな人」という印象を与えてしまっているかもしれないと思い、今回は普段着の写真にした。
それから前回はトリミングのことを考えないで撮ってしまってパンパンになってしまった反省があったので、余裕をもったフレーミングで撮影。この8年間でネットサービスのプロフィール写真表示のトレンドが正方形から円にずいぶん変わってきた。丸く切り取られた時にも困らないよう今回は余裕のある控えめな写真として切り出した。
背景用にケント紙を用意して良かった。背景処理しないで済ませられたよ。
2011年4月16日に株式会社ミクシィに登録してから10年が経った(mixi は2004年11月19日に登録してから約16年5カ月経過)。
昨年末から今年の年初にかけて、「2011年から大きく変化する時代になる」と何人かの著名人が言っていたと覚えています。 そしてまさかの東北地方太平洋沖地震。自然が社会に対して大きな変化のスイッチを強制的に押してしまいました。望む望まざるにかかわらず激動の10年が始まりました。 そして私個人としても新しい10年の1歩を踏み出すこととなりました。 — 2011年4月15日
東北地方太平洋沖地震の年から10年。ソーシャルメディアという大好きなインターネットサービス(しかも日記機能付き)の仕事をずっとしてこれたことはとても幸せなことで全てに感謝しかない。
ありがとう、全てのマイミクシィ。
COVID-19 によって今度は全世界レベルで社会の大きな変化のスイッチが押された。この変化を前向きに捉えつつ、いい仕事をしていけるよう日々研鑽していきたい。
KeePass パスワードデータベースに登録しているアカウントを棚卸し。 Google アカウントを3つ削除。それから利用規約違反で削除されている Google アカウントが1つあるのにも気がついたが、こちらは当然メールが読めないのでどのような利用規約違反の警告が来ていたのか確認できずじまいとなった。
あとは Google アカウントに関係するメールアドレス、関係ないけど使わなくなったメールアドレスをもりもり棚卸しして削除。
何かを生み出す作業ではないけれど、ネットサービスのアカウントたまに整理しておかないと訳が分からなくなるからねー。
問題に取り組む前に「今本当に答えを出す価値のある問題(イシュー)」かどうかを見極める。そしてスタンスをとり、イシューに対して「問い」ではなくいきなり「答え(仮説)」を出す。
という考え方を紹介しているのが『イシューからはじめよ』だ。いかにして意味のある仕事を選択し成果を出していくかかが説明されている。
「問題を見極める」重要性をここまで明確にしているのを読んだのは本書が初めてだ。仮説思考の徹底ぶりもすごい。この2点を常に意識できるようになれれば本書を読んだ価値があるだろう。
第1章から「イシューからはじめる」アプローチ
について各章でポイントを解説している。ソリューションを考え出してプレゼンテーションをまとめる際に何度も読み返したい。
個人的に刺さったのは「イシューと仮説は紙や電子ファイルに言葉として表現することを徹底する。」というくだり。やはり「文章で書く」こと大切だよね。
本書を知ったのは Developers Summit 2019 の「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞 2019」プレゼン大会。同年のビジネス書部門大賞となっている。その後2020年5月に思い出して読んだ。読書ノートをまとめてなかったので、読み直してみたのが今日だ。
本書では問題設定から問題解決案/論文のアウトプットまでが主なスコープで、読んだ多くの人がコンサルティング的な仕事を思い浮かべるのではないだろうか。
ネットサービスのプロダクトマネジメントでは、承認を得るのがゴールではなくユーザーに価値を届けて成果を出すのがゴールである。仮説検証の段階でプロダクトをリリースしてできるだけ早くフィードバックを得て、検査と適応を繰り返していく。ライトウェイトなループの中にうまく本書の考え方を取り込んでいきたい。
フルリモートワークでリモートコミュニケーションのみの環境は「個人の仕事をやる」「決定されたものをやる」のに向いている一方、直接コミュニケーションをとれる環境に比べて創発・イノベーションが生まれにくくなる。間違いなくじわじわ組織が弱体化していく。
コミュニケーションの中心はずっと以前からチャット中心ではあった。しかし今後リモートコミュニケーションのツールがどれほど良くなっていっても、同じスペースにいて直接目に入り直接話せる環境だった時との絶対的な情報量の違いは埋めることができない。
なのでプロダクト(ネットサービス)を持続的に開発・運営していく組織でのフルリモートワーク体制についてずっと慎重な立場だ。
しかし不可逆なリモートワーク拡大はもう止められない。売り手市場が続いているソフトウェアエンジニアの個人人格が強くなっている業界において、人材確保の観点でも企業はリモートワーク拡充の必要性に迫られている。
変化する社会に合わせつつ、長期的にも合理的な新しい組織運営を目指していかねばなあ。
よく使うアプリ(ネットサービス)をさっと切り替えて使うのに便利なアプリ統合型ブラウザ Biscuit を使い始めてみた。 Toshitaka Agata (@agata) 氏が開発されている Electron ベースのアプリケーションだ。
Google Chrome のウィンドウやタブはできるだけこまめに閉じる派である。たくさんウィンドウやタブを開いておくのを避けることで気が散る要因を減らせるメリットがあるんだけれど、よく使うサービスのちょっとしたロード待ちでテンポが悪くなって集中が途切れるデメリットもある。
Slack や TweetDeck など頻繁にアクセスするサービスを Biscuit に登録しておくと、各サービスがロードされた状態で保持されているのでさっと切り替えられる。1つのウィンドウでサービスを切り替えて表示するので、ウィンドウが散らからないのも良い。
マルチディスプレイで作業する時にサブディスプレイに配置しておくのがよいな。
以前から気になっていた Logseq を MacBook Pro にインストールして触ってみた。Logseq は WorkFlowy や Roam (Roam Research) などからインスパイアされて開発されているアウトライナーで、類似のインタフェースや機能を備えている。
ローカルの Markdown/Org ファイルにデータが保存されるので、他のアプリケーションと併用したり乗り換えたりするのが容易だ。ローカルで閉じて使えるのでネットサービス上に置きたくない情報を扱うのにも向いている。
Logseq の名前の由来が
What does "Logseq" mean? You can read it as "Log sequence" or "Logical sequence" (thank you Ed). — logseq.github.io
とあるように、ジャーナルに思い浮かんだことをキャプチャし書き出しながらナレッジやプロジェクトなどのためのページをつないでいくのが標準の構成となっている。このため Logseq graph (ページの集まりのことで、ファイルシステム上では指定したフォルダ以下に保存される)を新しく作成すると初期状態で Journals (journals フォルダ)が作られる。
自分は Obsidian でデイリーノート管理をしている。 Logseq を使うとジャーナル管理が2箇所になってしまうのがちょっと悩ましい。ジャーナル管理をオフにできるけれどそうすると Logseq らしさが無くなってしまいそうではある。
All pages に Contents・Favorites・card というページが表示されるのだがこれが何なのかまだ分かっていない。 refresh や re-index 操作があるのだけれどそれぞれいつ実行すべきかわからない。 どちらをやっても変更が反映されない場合があって、その時は All Graphs から graph を開き直すときれいになったりする。
Google ドライブアプリで同期している「Google ドライブ」フォルダ以下に graph を作ると、ファイル管理がおかしい。 graph フォルダの中にさらに Users/naney/Google ドライブ/... のようなフォルダ階層が作られてしまう。
いろいろ試したところ graph のフォルダまでのパスに濁点が含まれるフォルダ名があると駄目のようだ。Unicode 正規化まわりの問題に引っかかったようだ。
Google ドライブ同期フォルダ以下にある Obsidian vault フォルダ Logseq graph として開いてみる実験をしていて上記問題にぶつかり今日は終了。
アウトライナーは思考にするのにとても便利だが、作成したアウトラインは時間が経つと扱いづらくなる。自分としては Obsidian をメインに使う中で補助的に Logseq が使えればいいなと。明日もうちょっと触って構成を検討しよう。
Naney (なにい)です。株式会社ミクシィで SNS 事業の部長をしています。
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