nDiki : 創発

2004年6月11日 (金)

創発 蟻・脳・都市・ソフトウェア自己組織化ネットワーク

rimage:ISBN:4-7973-2107-5

以前からちょっと探していた本。 会社帰りに有楽町三省堂書店で発見。

ソフトバンクパブリッシングから出しているからてっきりコンピュータ関連のところにあると思っていたのだが見あたらず、端末で検索したら動物学・植物学関連のところにあるとでた。

創発というキーワードは「適応型ソフトウェア開発」でも何度も出てきているし、ちょっと押えておこう考えている。

それと自己組織化といえば大学時代、研究室に興味を示している友人がいたな。

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2004年7月5日 (月)

Perl遺伝的プログラミング

創発本(ソフトバンクパブリッシング)を読んでいたら、遺伝的プログラミングしてみたくなった。 余暇としてコードを書いてみる。 しかし遺伝的プログラミング遺伝的アルゴリズムもきちんと学んだことがないのでかなり適当。もしかしてやっている事はGPではないかも。

  • 終端記号集合を用意 ('1', ';', '+', 'if', ...)
  • これらの列を遺伝子とする。
  • ランダムに並べたものを、沢山用意。
  • トークン列をjoin(' ')して、sub { } の中にいれて eval
  • エラーが出なかったらパラメータを与えて実行。返り値をチェックして適応度を計算
  • 選択 - 適応度の高いものを残すように
  • 交叉 - ある遺伝子の前半と、ある遺伝子の後半をくっつける。長さはそれぞれランダム
  • 突然変異 - 遺伝子の1つの終端記号をランダムに変更

'3' を返す関数とかは簡単にできあがる(sub { 1 + 1 + 1} など)。 max(a, b) に対応する関数を作ろうとしたら、これは今のところ駄目。

  • eval (コンパイル) 成功したものの方が、失敗したものより適応度を高くするようにしていたため、交叉の長さをランダムにするとどんどん遺伝子が短くなる(長いものはほとんどコンパイルエラーになるので)
  • '}' などの順序にによっては sub が閉じられてしまう。パターンによっては perl 自体がセグメンテーション例外で落ちてしまった。最低限 '{', '}' の対応があうように eval 前に '{', '}' を挿入するようにした。
  • 遺伝子がちょっと長くなるとほとんど eval に失敗する。
  • '<', '>' を終端記号集合に含めておくと、<$a> のようなものも生成してしまう事もあり危険。
  • 無限ループ検出がないため、終端記号集合に for, while 等を入れられない。

やはり構文木を遺伝子にしないと駄目かな。

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2004年7月9日 (金)

創発 蟻・脳・都市・ソフトウェア自己組織化ネットワーク 読了

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rimage:ISBN:4-7973-2107-5

買ってから約1ヶ月。 本屋では動物学・植物学関連のところにあったのだが、やっぱり計算機科学関連の読み物。 創発に関していろいろ考えるきっかけとしてなかなか良かった。 スラッシュドットに対する考察なども興味深い。

本としては脚注が全て巻末にまとめられていて参照しづらい(結局見ていない)のと、日本語としてわかりにくい文が散見された(原文自体がわかりにくいのかもしれないが)のがマイナス。

フィードバックに関する話の途中で出てくる

スレッド型の討論掲示板は、イカレポンチと呼ばれる特殊な生き物にとって、理想的な生態環境となった。 イカレポンチは、ある特定の問題や解釈モデルに執着し、どんな議論であろうと自分の世界観を勝手に述べ立てて平気で、どうやら生業も家族生活もないので、ちょっとした挑発ですさまじいレスを返してよこす。(中略) あらゆる会話を自分の持つ特定の話題につなげないと気がすまず、自分のルールにしたがわない会話すべてに逆らう連中。(pp. 161-162)

という辛辣な表現は刺激的。ちなみにこの後、

ROMを考慮すると、スレッド型議論は実は伝統的な対面講義よりもインタラクティブ性が少なく、夕食のテーブルを囲んだ会話に比べればまるでインタラクティブではない。そこでならいちばん寡黙な参加者ですら、身振りや表情で参加する。(p.163)

と続く。


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2021年4月11日 (日)

「自分が考えてる以上のものは出てこない」【日記】

絵などの作品を処分する前にまとめて写真撮影。思い出として残せればぐらいで超キレイに撮らねばという訳ではないのだけれど、三脚を立て、作品毎にマスキングテープで床に貼って撮影を繰り返したらあっという間に2時間以上経ってしまった。

プロフェッショナル 仕事の流儀 「庵野秀明スペシャル」』

3月22日に放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀 「庵野秀明スペシャル」』を見た。75分スペシャル。

自分が考えてる以上のものは出てこない

という言葉が刺さった。

1人で思考するだけでなく創発が生まれる環境を作っていくことにも意識を向けたい。

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2021年6月25日 (金)

『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』

僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた

プロダクトの利用を習慣付けさせる要素についてさらに知りたくて『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』を読んでみた。

行動の習慣付けモデル「フックモデル」を解説している書籍『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』は、どのようにすれば顧客習慣的な利用を促しプロダクトを成長させられるかという視点で書かれていた。一方本書では、

物質の摂取を伴わずとも、強い心理的欲求を短期的に満たし、その一方で長期的には深刻なダメージを引き起こす行動に抵抗できないとき、それを行動嗜癖と呼ぶのである。

と行動嗜癖に警鐘を鳴らす立場で書かれている。自分自身 Twitter を日常的にチェックしていること、 Twitter 以外の利用も含めスマートフォンを頻繁を使っていることはまさに行動嗜癖によるものだ。最近、家に帰ると毎晩 TETRIS 99 をやりたくなるのも同様に行動嗜癖だろう。

ソーシャルメディアと行動嗜癖」「スマートフォン・タブレットと行動嗜癖」についての

ソーシャルメディアで過ごす時間が長い被験者は、そうでない被験者に比べて、集中して課題をこなす能力が低くなっていた

スマートフォンは、たとえ使っていなくても、そこにあるだけで人間関係を損なうのだ。スマートフォンの向こうに世界が広がっていることをつねに思い出しているので、目の前の会話に集中できない。

といった話にはもちろん思い当たる節があり、読んでいるとなかなか重い気持ちになってくる。

「オンラインコミュニケーションと行動嗜癖」という点では、

人間は、自分の行動が他人に影響を与える様子を観察することで、他人への共感や理解というものを学ぶ。目の前で反応を見られなければ共感力は育たない。

と、オンラインばかりではコミュニケーション力の成長に大きな問題が生じると言っている。これは子供だけでなく、大人のコミュニケーション力向上あるいは維持にも言えることだろう。

他人と向き合い、顔と顔をあわせ、会話を続けていくことはどういうことなのか、学ぶ機会が生じない。キーボードをスタッカートで叩く会話のリズムは--ウェブカメラを通じた交流も--実際に顔をあわせた会話のリズムとは大きく異なるし、情報を伝え合う範囲も極めて狭い。

昨年から仕事でのコミュニケーションのほとんどがオンラインになった。不可逆な社会変化によりオフィスワークとリモートワークのハイブリッドなワークスタイルは今後も続くだろう。「対面よりもビデオ会議」「ビデオ会議よりも通話会議」「通話会議よりもチャット」と、「効率的」「十分」という意見のもとに帯域の狭いコミュニケーションばかりが選ばれていくことで、ただでさえ低いコミュニケーション力が気が付かないうちにひどい事にならないかと懸念している。

オンラインだけで過ごしていると、自分の一部がしなびていくんです

忘れないでください。ピクルスになった脳は、二度とキュウリには戻りません

組織の創発・イノベーション創出のためにはオフィスワークかリモートワークかなどと考えを巡らす以前に、まずは自身の脳がしなびていかないようコミュニケーションを大切にしていかねばと感じた。

本書では「行動嗜癖の6つの要素」として

  1. 目標】ちょっと手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標があること
  2. 【フィードバック】抵抗しづらく、また予測できないランダムな頻度で、報われる感覚 (正のフィードバック) があること
  3. 【進歩の実感】段階的に進歩・向上していく感覚があること
  4. 【難易度のエスカレート】徐々に難易度を増していくタスクがあること
  5. 【クリフハンガー】解消したいが解消されていない緊張感があること
  6. 【社会的相互作用】強い社会的な結びつきがあること

を挙げ、それぞれについて章を割いて説明している。また最後の方の章ではゲーミフィケーションの3つの要素として

  • ポイント制
  • バッジ
  • 上位に入ったプレイヤーを発表するランキング表(リーダーボード)

が挙げられていた。プロダクトのリテンション改善には、これらが参考になるだろう。ユーザーに価値を提供していくためという大前提を忘れずに得られた知見を活かしていきたい。

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2021年10月5日 (火)

フルリモートワーク体制への変化を受け入れる

フルリモートワークでリモートコミュニケーションのみの環境は「個人の仕事をやる」「決定されたものをやる」のに向いている一方、直接コミュニケーションをとれる環境に比べて創発・イノベーションが生まれにくくなる。間違いなくじわじわ組織が弱体化していく。

コミュニケーションの中心はずっと以前からチャット中心ではあった。しかし今後リモートコミュニケーションのツールがどれほど良くなっていっても、同じスペースにいて直接目に入り直接話せる環境だった時との絶対的な情報量の違いは埋めることができない。

なのでプロダクト(ネットサービス)を持続的に開発・運営していく組織でのフルリモートワーク体制についてずっと慎重な立場だ。

しかし不可逆なリモートワーク拡大はもう止められない。売り手市場が続いているソフトウェアエンジニアの個人人格が強くなっている業界において、人材確保の観点でも企業はリモートワーク拡充の必要性に迫られている。

変化する社会に合わせつつ、長期的にも合理的な新しい組織運営を目指していかねばなあ。

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About

Naney Naneymx

Naney (なにい) です。株式会社MIXIで SNS 事業の部長をしています。

※本サイトの内容は個人的見解であり所属組織とは関係ありません。

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