何と嫌なタイトルなのだろう。「グズ」ってグサッと刺さる言葉だよな。 なお原題は「Living Without Procrastination: How to Stop Postponing Your Life」。
実行力や先送りに関する本が読みたくて、会社帰りにヨドバシカメラの上の有隣堂にいったら沢山並べてあったので買ってきた。
そこで、本書で紹介されているメソッドを即座に実行したことで、徐々にやれなかったことが迅速に片づけられるようになり、その分、ずっと前からやりたかったことや、新しくはじめたいことに時間やエネルギーを向けられるようになった。-- p.5
と述べていたので期待して読み進めてみた(考えてみると、本を読んで即座に実行できた訳者はグズ病ではないということで、本書を真に必要とする人の例としては適当ではないのだが)。
本書では「先送り」してしまう人をタイプ別に考察し、様々な言い訳パターンについてまず説明している。 どれもこれも耳が痛い話ばかりだ。
これらに対して人の変化の6段階を説明した後に、「ゆがんだ思考を断つステップ」として紹介しているのが
の2つ。
前者は「スーパーエンジニアへの道」で勧めている「個人的日誌」(記事)と同じ方法といえるだろう(そういえば、やり始めたけれど続いていない)。
後者については「慣れさえすれば三つの仮定を、ごく自然にできるようになる。」と書かれているが、具体的な説明はなし。
この2ステップが核心なのかと思ったのだが、割かれているのは合計5ページのみとちょっと物足りない。
あとはポイントとしてチェックしたのは
ぐらいか。これらもふくめあとは Life Hacks 系でよくみかける「タスクの細分化」「時間見積もり」「ご褒美」他の手法提案で、目新しいところはほとんどない。 仕事やプライベートなどのシーン別に取り組み方があるので、読んでいる人の悩みにマッチすればちょっとは参考になるかもといったところだ。
章節立てがちょっとわかりにくかったり、挿話が実話なのか説明用のお話なのかわからないような中途半端なものだったりと、文章的には2流な感じ。
ま、先送りについて再度考えてみることができたという意味で良しとしよう。 また個人的日誌やってみるかな。
[ 読書ノート ]
「日常会話」について、特に「世間話」の仕方の本です。懇親会などが近々あって「もう少し会話力が欲しいなあ」なんて思っていたところ、先日青山ブックセンターで「会話が弾むのは、どっち!? - 今すぐ身につく、使えるテクニック33 -」という本を見かけたので購入してみました。
シチュエーション別に2つの選択肢があってどちらかを選びながら2ページから4ページでまとめられているスタイルで、テンポ良く読めます。例えばいかのような選択肢があがっています。
初対面での沈黙 会話が弾むのはどっち? 「……このお店、落ち着きますね」「……このコーヒー美味しいですね」*1 p.137
本書の位置付けのせいかもしれませんが「○○法」のようなキーワードがコミュニケーションや心理学において一般的に言われているものなのか、著者の独自研究/持論なのかが区別がつかないのがちょっと読みにくいなと思いました。そういった気になる点はあるものの、自分にとって使えそうなポイントが結構あったのでまとめてみました。
本書によれば会話の構成要素は「ネタ振り」「展開」「着地」とのこと(p.4)。懇親会・交流会などでは、まずどう輪に入るかで躊躇するので個人的には最初のステップがポイントですね。
*1本書では前者の方が◎
会話の輪に入ることを拒む人はその気持が態度として表れてしまうので、周囲が声をかけづらい状況になっていることがほとんどです。(中略) 「一人だけのけ者にされている」と落ち込むタイプの人は、本人が思っている以上にその感情は表情に表れるものです。 p.49
あちゃー、大いにあるあるです。鉄板ですがまずは笑顔。
きつい表現になりますが、あいさつができない人が会話を弾ませることなどありえません。 p.27
挨拶重要。このステップも忘れないようあらためて気をつけます。
世間話で選ぶ話題で唯一ある取り決めは「お互いに知っている情報を選ぶこと」。 p.22
世間話のもたらす効果は「親密度の上昇」か「現状維持」しかない(p.23)とうことで、リスクは無いので積極的にしかけましょうとのことです。
会話が苦手な人は総じて自分のことしか関心がなく、相手のことなど気にしません。p.41
ここは「人を動かす」でも言い尽くされているところですね。わかってはいるけれども、ついつい自分が話したいことで頭がいっぱいになったりするのでふだんから自然にそう思えるように日々意識しておきたいです。
ただ本書でも具体的にどうするともっと「関心を寄せられる」かについては触れられていないので、ここは別途補完する必要あります。
ちなみに交流会で会話を弾ませるコツは、「業界のこと」や「会社のこと」は世間話程度に使って、できるだけ「本人のこと」について語り合うことです。 p.107
という点は目から鱗が落ちました。交流会などではそのトピックの新しい事を知りたい・話したいという期待が大きいのではと思ってましたが、考えてみれば交流というのを重視した方が良いのだと気付きました。
またノンバーバルコミュニケーションとして前のめりに姿勢で会話への関心度を示すことも重要という点もあらためて意識したいです。
「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」というのは質問の使い分けについてで良く出る話ですが、本書では
とりあえず「ど」と言ってみる! p.89
とわかりやすくテクニック化しています。「ど」と言えば、あとは「どちらに」「どんな」「どうして」「どれが」「どうやって」などとなんとか形になるとのこと。なるほど。
日常会話には議題もゴールもありません。 p.7
これ。つい結論を求めたり解決策を考えたりしてしまう性格なのですが、世間話ではそっちへ突っ込みすぎると失敗だったりするんですよね。ここは私にとって要注意です。
[ 読書ノート ]
チームメンバとの one-on-one ミーティングの際に紹介してもらった『嫌われる勇気』を読みました(紹介感謝)。アドラー心理学に著者の持論を加えた「哲学」が哲人と青年という2人の対話の形で語られていきます。著者が重要だとしているところがあらかじめ太字になっていて、そこだけさっと読み返せるようになっているのが良いですね。
読んでいて疑問に感じる点が出てきた頃合いに「青年」が良いタイミングで代わり問うてくれて「哲人」がそれに答えてくれるという流れになっていて、それにのってすっと著者の哲学に引き込まれていく仕組みになっているのは上手いなと感じました。
「他者がどう評価するかは他者の課題であるので、気にかけず嫌われることを恐れず自分の生き方を貫こう」そして「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」によって「自己への執着を他者への関心に切り替えて共同感覚を持つ」ことができ、「誰かの役に立っているという主観的な貢献感という幸福」を得ることができるというところが論旨でしょうか。
「課題の分離」という考え方はなるほどと感じました。そういう考え方をもつことでたしかに他者の評価を気にかける気持ちが落ち着いた気がします。
ただ(本書で言うところの)承認欲求を否定しきっていいのかは疑問が残りすっきりしませんでした。他人の期待を満たすために生きるのではないというのは確かにそうなのですが、お互いに依存しあっている社会の中で完全に否定しきれるものなのでしょうか?
本書では他者を「評価」しないのが大切と述べています。褒めたり叱ったりするのは背後に操作という目的があるからであり、またそうされた方は「自分には能力がない」という信念を形成してしまうとのことです。かわりに感謝や喜びを伝えるという「勇気づけ」を勧めています。
論としては理解できるのですが、果たして実際に褒めるということを無くしきっても良いのか確信が得られませんでした。
子供の頃に本で学んだことを両親に話したら「良くしっているね」と褒められて嬉しかった記憶が残っています。その褒め言葉でちょっぴり学ぶ能力の自信が高まりましたが、それで縦の関係による能力のなさを感じることはありませんでした。また褒められたことが一時的な外発的動機づけでしかなかったとも感じていなかった気がします。
「他者への評価」、これについてはもう少し学ばないと実践すべきという判断ができないなと。
本書の内容を手放しに自分の価値観や原則に取り込むべきではないというのが読み終えた感想ですが、違った考え方を得るきっかけになりました。本書の考えの根底にあるアドラーの教えについては、デール・カーネギーも影響を受けているということですしあらためて「人を動かす」を読み返したくなりました。
[ 読書ノート ]
2018年に読んだ『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』(原題 Hooked: How to Build Habit-Forming Products)の読書ノートを書いていなかったのでハイライトしたところをざっと読み直した。
人は意識的な思考をほとんど伴わずに状況的なきっかけによって自動的に行動をとるようになることがある。プロダクトがそのような習慣性を作り上げることがあれば、ユーザーに継続的に利用してもらえる。さらに習慣化されたプロダクトは価値のあるものだと判断しより依存度が高まっていくのだ。
4つのステップを踏むことで人間の行動を習慣付けさせるのが本書の提唱する「フックモデル(The Hook Model)」だ。*1
がその4つのステップである。
本書を初めて読んだ時「インベストメント(投資)」がステップに含まれていることに驚き、そして経験的に非常になるほどと思ったのだ。自分は Tweet を見やすくするよう Twitter 上で日々リストを見直している。フックモデルではこれが「ユーザー自身が自分の体験を良くするための行動(インベストメント)」だというのだ。なるほど、習慣的に使っているプロダクトには実際にいろいろ投資しているなと驚いた。
本書では各ステップについてそれぞれ章を割いて、それぞれ「どのようなタイプのものがあるのか」「どのような心理的な背景があるのか」「どのような事例があるのか」を通して説明されている。
特にネットサービスの継続(Retention)を高めていきたいと考えているプロダクトマネージャーにとって読んで損の無い1冊だ。
[ 読書ノート ]
動機づけ観点で褒めることの是非について、ちょっと再確認してみた。
「行動・過程」に感謝する(あるいは褒める)。「結果・成果」を褒めない。金銭的な報酬を期待させない。
「外発的動機づけ」により「内発的動機づけ」が高まる「エンハンシング効果」を起こす。
「内発的動機づけによる行動」に対して「外発的動機づけ」することにより動機づけが下がる「アンダーマイニング効果」を起こさないようにする。
外山滋比古氏による「思考」に関するエッセイ集。これから大学で学び研究し論文を書こうとする者に向けた教授からのメッセージとして受け止めた。
受動的ではなく能動的に考え学習するという心構えを説きつつ、「考えを寝かせる」「1つではなく複数のテーマを持つ」「情報をメタ化していく」「捨てる」といった思考の整理方法が語られている。
心理学や脳科学といったものは持ち込まれず経験に基づいた主張としてまとめられている。研究方法としての実験や分析といった話にも触れられていない。人文学的な「思考の整理」にフォーカスされている。
最近 Obsidian を使ってノートをどう繋げていけば、思考の整理と洞察につながるのか考えていた。「メタ化」「捨てる」についてちょっと参考になった。
[ 読書ノート ]
秋分の日。
朝から「共感」の意味についていろいろ調べてた。心理学における「共感」は感情についての話で、一般的な日本語の意味だと感情や意見についての話になるのかな。シンパシーあるいはエンパシーとの1対1の語でもないし、人によって解釈が異なるタイプの語だ。
地味に続けている TETRIS 99 では7月13日以来人生2度目のテト1達成。最後の2人になってからの興奮がたまらない。この感覚がヤバいんだな。
construction#photography#Pixel4 pic.twitter.com/4Ki1b1aUnE
— Naney (@Naney) September 23, 2021
『Hacking Growth グロースハック完全読本』を読む会の第8回目。今日は「第6章 活性化をハックする」。
アクティベーション (Activation) についての章。前半の発表を担当した。
まずアハ体験(顧客がプロダクトの価値を感じる瞬間、本書ではアハ・モーメント)までの顧客の行動とコンバージョン率を把握する。
コンバージョン率を高める方法としては
があるのだが、ほとんどのグロースチームは後者に注力しているという。欲求を高めるのはグロースチームとは別のプロダクトチームが担うのが効率的なのかもしれない。
新規顧客体験の最適化の話では、影響力の6つの原理・フロー状態・ゲーミフィケーション・フォッグ行動モデルといった心理に関する話が登場した。アクティベーションの改善には心理学の治験をいかしつつ実験するのが効率的そうだ。
新規顧客に対してアンケートを取ると回答している間に顧客のコミットメントが高まるという話には、そういう人の動かし方があるのかと感心した。ただ行動過程を削ればいいというものではないのだなあ。
Naney (なにい) です。株式会社MIXIで SNS 事業の部長をしています。
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