齋藤孝氏が考案した「偏愛マップ」がオフ会などのイベントでの自己紹介にとても良さそうです。自分が大好きなものを書きだした「偏愛マップ」を作り、会話相手と互いのマップを交換して共通点や関心の湧いたキーワードについて会話すると盛り上がることができるというものです。
どんな感じか実際にやってみたくなりました。「偏愛マップ作り」と「偏愛マップを使った会話」の2つのステップのうち、まずは偏愛マップ作りをこの連休でやってみることにしました。
まずは自分が偏愛しているものを集めるところから。気がついた時に整理するでもなく書きだしていた断片的なお気に入りリストがあるのでそれをベースに書き出し始めました。
リストに書き出してあったものは20代ぐらいまでに好きになったものが多いですね。やはり感受性の高い頃に出会ったものの印象が強烈です。逆に最近のものが偏愛にあまり上がってこないことが「そうだよな……」とちょっとショックでした。もっと普段からわくわくするものを意識して見つけていきたいなと。
以前挙げていたけれども「今はそうでもないかな」というものも結構ありました。ツール的なものにそういうものが多いですね。例えば ThinkPad とか。一方作品的なものは一度好きになったらそう変わらないものだということにもあらためて気が付きました。
「本棚を整理しようとしても、取り出した本を読み始めてしまって全然片付かない」パターンと同様、お気に入りを書き出すのは楽しく苦しく、そしていくらでも時間がかけられるもの。日記を見返して偏愛自分探しをしたりしていましたが今日のところはいったんキリのいいところで止めました。
絵心が無いですし、何度も修正したくなると思うので手書きではなく PC 上で偏愛マップを作っていくことにします。
偏愛しているものを iThoughtsX でマインドマップ風に書き出していっていたので、レイアウトしてそのまま1枚にまとめようと思ったのですが、放射状だとどうにもまとまらない感じです。偏愛マップ自体は形式自由なのでもちろんマインドマップ的なのもアリなのですが、好きなカテゴリ別に箇条書きにして四角で囲む形がいちばんうまく詰め込めるように個人的に感じました。
スペースに合わせて取捨する段階で「実は他人目線でウケ狙い的に上げていて偏愛じゃなかった」といったものに気がついたら捨てるとすっきりします。一方、偏愛ランキングが低いものをスペースの関係で落としていくのはとても心苦しいですね。苦しいです。
偏愛マップではキーワードで列挙していくので基本良いと思うのですが、コミュニケーションツールとして使うには一言ずつ程度説明を添えておくとニッチなものについては良さそうです。
結局今日の時点では公開するほど満足なレベルには仕上がらなかったので、ここに載せるのはお預けにしました。
自分にとって最高の偏愛モノを思い浮かべて書き出すのは、性格にもよりますが結構な時間がかかるということがわかりました。もしイベントで偏愛マップを書いてもらうとしたら、きちんとタイムキーパーをおいて進行しその時間でできる範囲で仕上げてもらうよう誘導する必要があるかと思います。
偏愛マップやカテゴリのサンプルを用意しておいて、初めての人がスムーズに取りかかれるようにする必要もありそうです。
偏愛について書かれた齋藤孝氏の「偏愛力 〜人付き合いがうまくいくコミュニケーションの基本50〜」を図書館でぱらぱらっと見たら面白そうだったので早速買って読んでみました。
本書の中で「最高のコミュニケーションツールだと自賛 (p.142)」されている偏愛マップの作り方について書かれていたので、なるほどと思うポイントをピックアップしてみました。
他人にどう思われるかを気にしたり恥ずかしがったりせずに、本当に偏愛しているものを書くということが大切です。
「偏愛」とは何かを特別に好きになること。 p.3
「こんなものを好きだといったらキラわれる」は絶対に思い過ごしです。 p.100
偏愛マップは人に見せることが大前提ですが、それを意識して、かっこいい「好き」だけを書こうなどと変なバイアスをつけないこと。 p.143
偏愛はできるだけ具体的に書くのが良いとのこと。固有名詞などで書くのが良いですね。実際に私が偏愛マップを使って会話してみた時も、相手の偏愛マップにあるキーワードが具体的なものの方が興味をもって質問できました。
偏愛しているものはできるだけ細かく書くこと。 p.143
まず最初のとっかかりとしては、やはり昔好きだったものなどが良いようです。子供の頃に好きになったものなどはやは強いですね。
昔好きだったという人やこと、ものを書いてもいいでしょう。 p.144
偏愛するものがなかなか思い出せないときには、特別に好きな食べ物とか、子どものころに手に入れたもので今も捨てられないでもっているもの、はまったアイドルとか漫画など手近なところから偏愛しているものを思い出していく(後略) p.144
あとはワークショップなどでみんなでやる場合は、サンプルとなるカテゴリのリストがあるととりかかかりやすいようです。
基本形式は自由です。カテゴリ別に箇条書きにしていくタイプや、マインドマップのように放射状に広げていくタイプなどが多いようです。「偏愛マップ」で Google 画像検索してみるといろいろな方の偏愛マップを見ることができるので、気に入ったものを真似るのも手です。
限られた時間で書きその場で交換して会話するような場合は、綺麗さにこだわらない方が良いかと思います。
読めさえすればどんどん書きなぐる感じでかまいません。 p.145
またじっくり時間をかけて偏愛マップをアップデートしていくようなケースでは、偏愛しているものについて順位付けをするのも面白いです。自分が本当に本当に好きなんだなぁというのが見えてきます。逆にこれは好きだけれど偏愛ではないなというのも見えてきたりします。
ときどきランキング付けをやっていると、自分が偏愛しているものが具体的にわかってきて、あやふやだった自分像が明解になってきます。 p.117
ワークショップなどで偏愛マップ作りについて説明する場合には上記のようなポイントを伝えるとスムーズに取り組めるのではと思います。
偏愛マップを交換して共通点や関心の湧いたキーワードについて会話する際のポイントについても本書で説明されていたので、それについても別途まとめておきたいと思います。
「君の名は。」を観て出来事や感情・感動を日記に書き残しておくことをあらためて大切にしたいと思ったので、日記を書く先をテキストファイルにすることにしました。
のでこの nDiki も日記データはテキストファイルになっているのですが、プライベートな日記は実はここしばらく Evernote にしていました(去年末に Day One から Evernote に変えました)。今は「デイリーノート」としてその日の日記やノートなどを1日分ずつ Evernote の1ノートにしています。形としていい感じになってきたのですが、やはり Evernote 上のノートの永続性については不安な気持ちをもっていました。
今回はいい機会なのでクラシックだけれども自由度が高くアプリケーションの寿命に縛られないテキストファイルベースに移行することにしました。
1日1テキストファイル。見出しや箇条書きなど基本的に Markdown 形式で。日付はファイル名に頼らずファイル内にも書きます。
ファイルは Dropbox フォルダ上に置きます。
OS X 上では基本 iA Writer で。ライブラリ機能を使って日記ファイルをブラウズしやすいのが良いです。検索については iA Writer でフォルダ内の検索はできるものの、サブフォルダまで再帰的には検索してくれないので Spotlight と併用になりそうです。*1
Android デバイスからは JotterPad や Jota+ で編集します。
編集履歴を戻りたくなった場合には iA Writer・JotterPad・Dropbox の履歴機能を利用できるので安心。
バックアップは OS X の Time Machine で。
Evernote に比べて検索の使い勝手が若干下がりますが、それ以外はマルチデバイス含め遜色ない感じで運用できそうです。好きなテキストエディタが使えるようになる点、コピー&ペースト時にリッチテキストかどうかなどを気にしなくてよい点など、書く時の快適さはテキストファイルベースの方が上です。
何周かしてまたテキストファイルに戻ってきた、そんな感じです。
[ ノート・日記はテキストファイルに ]
転職エージェントが紹介してくださるソフトウェアエンジニアの職務経歴書ですが、ここ数年見ている限りだいたいフォーマットは数パターンぐらいでだいたい似たり寄ったりな感じです。かかわった業務でのプロダクト概要・チーム人数と担当役割の箇条書きと、使用したプログラミング言語・OS・ミドルウェアの羅列、それから工程列の●マークが定番でしょうか。
しかし端的に列挙されているだけだと魅力を感じることができないのですよね。 R & D や特定領域に特化した方を探している場合はともかく、いつでも誰でも学べるものを並べられても評価できません。
具体的にどのような能力を発揮されたか、どんな特別な工夫をしたかなどを(守秘義務を守れる範囲で)書かれていると良いのではないかなと思います。
個人的には定番のあの表形式ではなく、もっと自由な記述のものだと読んでいてわくわくするのになと思っています。せっかくついているエージェントの方はそういうところはフォローしないのでしょうかね。それとも世間一般の採用者はあの表だけで足りてしまうので困っていないのかな。
[ opinion ]
どうも「自分で考え答えを出す」のが足りていないと感じている。考えたいことは次から次にやってくるし自分の中からも湧いてくるのだけれど、しっかり考えられている実感がない。
画面に向き合いタイピングしながら考える時よりも紙に万年筆で書きながら考える時の方が自分の頭で考えている感じはある。やはり紙とペンが最強かなあ。 では考えを紙に書き出していくとして、整理・保管はどうしようか。スマートフォンで撮影して取り込み? テキスト入力には無い自由度やペンで書く行為の刺激が重要なら、紙に書くよりは劣るけれども手書きアプリに入力? うーん。
考えを紙に書き出す環境を見直そうとしていて今更ながらふと気が付いた。紙に書くと自分の頭で考えている感じがあるのって、その時に情報と割り込みから距離を置けているからだよね。
PC やスマートフォンを使っていると考える前にすぐ調べちゃう。考えているつもりで読んでいるだけ。通知が目に入ってきて気が散ってしまう。そして無意識のうちにいつの間にかソーシャルメディアを巡回したりメールのチェックをしたりしちゃっている……。
PC やスマートフォンでもエディタとだけ向き合うようにすれば考えることに集中できるよね。エディタを全画面にし他のアプリに切り替えなることなく考えていることを書き出すだけにしてみたら、気持ち良いじゃないですか。
割り込みのない場所と時間を毎日確保して思考を巡らせてみることにしよう。電車の中・仕事の合間・寝る前。時間を区切るのがいい(参考)。タイマーがあればしかける。スマートフォンのタイマーだと他の通知に集中を奪われてしまうので避けよう。
distraction free なライティングアプリ iA Writerを全画面で開く(Mac / Android デバイス)。必要ならフォーカスモード(入力中の文以外が目立たなくなるモード)にする。階層操作に心を奪われるアウトライナーはここでは使わない。
そこへ頭に思い浮かんだことをどんどんダンプする。用字用語は正しく書きたい派だけれどここは気にせず打っていく。多少変な文でも今は気にしない。頭がダンプモードではなくなってしまうので文章としての構造はここでは考えない。
考えるテーマとは違うことが絶対に思い浮かんでくる。意識の外にいったん追い出すためこれもダンプ。下の方に書き留めておく。別ファイルにしたり別のアプリを開いたりはしない。
ある程度ダンプしたらざっと整理する。 iA Writer のフォーカスモードは解除。
この時も調べ物はしない。用字用語の修正もしない。
階層を整理したり MECE にしたりすることに夢中になるから箇条書きに整形せずとも良い。関連する文を集め見出しで区切っていくぐらいで。
完全に整理することは目指さず、この時点での自分の考え(答え)を出すことを目指す。整理の過程で自分の考えが固まってくるはずだ。
いったんここまで。情報遮断から抜け出す。
やりたいことがあればタスク管理ツールに登録する。ノートとしてアーカイブするなら、ある程度読める文にリライトしたり用字用語を修正したりしておく。調べたいことがあれば調べる。仮説検証する。思うところがあれば Web 日記にまとめあげる。
こんな感じで。
今後の事業方針を検討していて「整理して書き出していく」のに手をつけるのが億劫で進みがちょっと悪かったのだけれど、これ Google スライドに書き出していこうとしていたからだな。うん。
途中で都度サマリーを共有しやすいだろうと今回は Google スライドで書き始めたのだけれど、Google スライドを開くのが億劫。ツールの観点もあるけれど、そもそもスライド形式が書きにくいんだな。iA Writer を使い Markdown 形式で文章の形で書き出し直したらどんどん書く気になった。
やはりスライドを書きながら考えるのはイケてないな。長くなってもいいので文章の形で考えをきちんと書き出した方が思考が捗る。日常的に Web 日記を書く習慣から、自分は「文章を書きながら考えるタイプ」なんだよね。それから「箇条書きで考えると細部が曖昧なままになる」弊害がもろ出た感じがある。
共有については、他の人に編集してもらうことができないけど「iA Writer の Web プレビューを Google ドキュメントに貼り付け」にしてみよ。
『amazonのすごい会議 ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』によれば Amazon では会議の資料は箇条書き禁止だそうである。
そこで、ベゾスが2006年頃に設定したのが、「会議の資料は箇条書き禁止。ナレーティブを用いる」、つまり文章で書くというルールです。 — 佐藤将之. amazonのすごい会議 ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法. 東洋経済新報社, 2020年9月18日, p.44.
書き手にとって箇条書きは細かい点まで詰めきれないまま列挙して考えたつもりになってしまいがちだ。文章として書くことで必然的にしっかり考えることになり、質の高い意見が生まれてくる。スライド形式よりもドキュメント形式の方が考えやすいというのもそういうことからなんだ。
読み手からすると箇条書きだけのミーティング資料は読むだけでは正確に意図を読み取ることができないという問題がある。仮に内容が良くても単体の資料としての価値は低い。
会議の資料は「箇条書きではなく文章で書く」のが Amazon のルールと紹介している書籍『amazonのすごい会議 ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』が気になって全部読んでみた。
「会議資料の準備」と Amazon 流の「意思決定会議」「アイデア出し会議」「進捗管理会議」、そしてそのやり方の背景にある信条「Our Leadership Principles」との関係について読みやすくまとめられていた。
本書の内容は「Our Leadership Principles」という価値観・行動原則を体現したマネジメントや会議のスタイルだ。なので読んでやり方だけ真似てもうまくいかない。Amazon 流会議の紹介から同意できる大切にしたい価値観・行動原則を見つけ自分や組織に取り込みつつ、会議スタイルも参考にしていくのが良いのだろう。いや価値観・行動原則を取り込められたのなら、もう真似などせずとも自ずとイケてる会議スタイルになっていっているに違いない。
とはいえピンポイントで「なるほど」「やってみたい」というのもいろいろあったので、それはそれでピックアップして参考にしたい。
「箇条書きではなく文章で書く」については
いつ誰が読んでも確実に伝わる
と「伝えるための表現形式」として、また
きちんとした文章にするとなると、読んだときに辻褄が合わない部分が出て来ないように、最初から整合性をとらなくてはなりません。そのため、吟味に吟味を重ね、適切な情報を用いて推敲を重ねなければなりません。
と「書いて考えるための表現形式」として文章形式(ナレーティブ形式)の良さが説明されいた。
最近はできるだけ箇条書きではなく文章で書くようにしている。やってみると、なるほどそうだなと。お勧めのプラクティスだ。
「定形フォーマットはつくらない」という話には唸った。
先人からの学びや自身の経験から「これは共通理解や意思決定に必要」という項目が自分なりにいくつかあって、ドキュメントの構成として意識していたりする。
しかしその構成に固執したり他人に強いたりすると、変化の阻害要因になりかねないと。定形にすると便利で楽だけれど思考の硬直につながりかねない。意識したい。
は意識したりやってみたりしたいなと思った。
それから
というのは、『すごい会議』で学んだ
というのと同じ普遍的な考え方だな。ガッツがいるのでついユルくなりがちだが、スピードと成果が圧倒的に変わってくるのでしっかり踏ん張ってコミット・リクエストしたい。
[ 読書ノート ]
思考を整理・明確化していくのには書いて考えるのが有効である。文章として書くことで必然的にしっかりと考えることになる。日頃から文章を書くことで思考力が高まる。
日々仕事で会議の資料を書いていたとしてもそれが箇条書きで列挙しているだけなら、考えたつもりになっているだけかもしれない。箇条書きではなく文章で書くことが質の高い思考につながる。
他の能力の獲得と同じく、文章力を高めるにはある程度の長さの文章を書いて見直すのを繰り返していくことが必要だ。「気をつける」「意識する」だけでは文章力はつかない。書かずして文章力が高まることはない。
文章力を高めるには、読者がいる前提の文章を書く必要がある。誰でも気軽に始められる Blog サービスや Web 日記サービスは、日頃からまとまった量の文章を書いて公開できる場として最適だ。
仕事に関する話題を社内 Blog に書くのもいいかもしれない。内容だけでなく文章についてのフィードバックがもらえれば、多いに文章力向上の参考になるだろう。
[ opinion ]
帰りの電車の中でスマートフォンで Obsidian ノートを開いてフリーライティングしてみた。
コピー&ペーストを使った編集が不便なことから、スマートフォンで文章を練り上げていくのは難しい。一方でそもそも書き直さないフリーライティングでは問題とならない。
使いやすいアウトライナーアプリがあればスマートフォンでもいろいろ発想を広げながら書き出せるのでは昔から考えている。しかし論理構造を考えないフリーライティングではアウトライン編集機能も必要ない。箇条書きなどにせずつらつらと書くほうがむしろ良い。
スマートフォンでは1つのアプリだけを表示して入力していくので、検索に頼ることなく情報を遮断し自分の頭の中で思い浮かんだことに集中できる。
スマートフォンでのフリーライティングなかなか良いな。
Naney (なにい) です。株式会社MIXIで SNS 事業の部長をしています。
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