『響け! ユーフォニアム 3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機』をついに読み終えた。期限切れで読みきれず何度か最初から読み直したりしていたのだが、今回ようやく最後まで読めた。
『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』『響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏』に続く3巻目で、テレビシリーズ第2期『響け!ユーフォニアム2』の第六回以降にあたる。
コンクール前の緊張感と高揚感は映像作品のそれとはまた違ったものがあり、文章作品もまたいいものだなと改めて感じた。音楽経験の乏しい自分の場合は映像作品を先に見ているからこそイメージできた部分も多いので、アニメ版からの原作の順番で良かったと思う。
次は『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話』かな?
[ 読書ノート ]
2003年6月に『日本語の作文技術』を買って読んでから18年。「係り受けの距離を近づける」「修飾語句は大きく長い順に」などのポイントを学んだことが、分かりやすい文章を書くのに大いに参考になっている(体得までは至っておらず、この文章自身まだまだではあるけれども)。
分かりやすい文章の書き方について参考となる本として『日本語の作文技術』をたびたび人に薦めてきた。一方で、民族と言語について著者の強い思いが考えの背景として述べられている点や辛辣な表現がある点などから、スルー力が育っていない中高生には手放しで薦めにくかった。
2004年10月25日に中学生を想定読者とした『中学生からの作文技術』が刊行されていたのを知ったのはいつだったか。作文技術のエッセンスをより平易に説明された1冊のようなので、これなら薦められるのではと今回自身で読んでみた。
なるほど『日本語の作文技術』に比べてかなり読みやすい。要点がまとめられているので、大人にも『中学生からの作文技術』を先に読むのを薦めた方がいいぐらいだ。
主義主張も『日本語の作文技術』よりマイルドなので、これなら中学生でも自分の頭で判断しながら読めるだろう。
学校で習う文法や役物の使い方と本書での説明では異なる部分があるかもしれない。文法について指導要領とは切り離して考える、学校で書く文章は指導要領のルール(スタイルガイド)に合わせるなど本書を鵜呑みにしないことも大切だ。語順の考え方など勘所を学べれば良いと思う。
社内の CS 部門の推薦図書リストを見せてもらった時に、ビジネス書が並んでいる中で目についたのがエッセイ(あるいはノンフィクション)である『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』だった。ソーシャルメディアでもたまに目にすることがありそのうち読みたいと思っていた。
この間チェックしたら文庫本化されて買いやすくなっていたので購入して読んでみることにした。1章1エピソードで空いた時間に少しずつ読み進められる構成だ。
人種の違いや貧富の差、性的多様性などからくる対立と分断について、中学生になった息子を育てる著者が英国での生活の中で感じたことが本書で綴られている。特定の思想に寄ることなく書かれているので反論が思い浮かんでイライラすること無く、多様性についてニュートラルにぼんやり考えながら最後まで読んだ。
良いか悪いか決めつけず多様性を受け入れるというのはこういうことだろうか。様々な人と接する CS 部門の人が薦める理由もそこにあるのかもしれないな。
[ 読書ノート ]
『Hacking Growth グロースハック完全読本』を読む会の第11回目。今日は最後の章「第9章 成長の好循環」。
9月8日にキックオフミーティングをしてから3カ月かけて読み進め本日最終回を迎えた。
本書を読んだことで各種サービスに触れている時にこれはグロースの仕掛けだなといろいろ気付くようになったという輪読会後の感想を聞いて、たしかにそれあるなと自分も思った。
データ分析を重視していると同時に、アンケートなどによる定性的なユーザー調査の必要性をいろいろな章で説いていたのが印象に残っている。ユーザー調査をいとわないようにしていかねば。
グロースハックの方法論が幅広くまとめられた本なだけあって内容は盛りだくさんだった。全部を満たさなければと思って取り組むと、なかなか先に進まずにグロースさせるべき時期を逸してしまいプロダクトにとって手遅れな状況になってしまうかもしれない。不完全な状態でも答えを出して走りだすようにしたい。
同じゴールを目指しているメンバで絶対的な正解のないグロースハックという手法について1冊の本を通じて話し合いながら読み進めたの良い学びになった。チームで使う共通の言語も持てたのではないだろうか。今後に大いに役立つこと間違いなし。
9章で個人的にポイントだと感じたのはまずは以下の話。
グロース施策をいつも管理業務より優先するのだ。
常に人手不足になる事業活動の中で、専任してもらえる体制にしていくのが今の自分がやるべきことだなと。
実験をしていくにあたり
新たな成長のレバーを探す前に、すでに効果を上げているチャネルや戦術の新たな活用法を探すべきだ。 (中略) 「命中」した方策を徹底的に活用するのがよい。
との指針も参考になった。満遍なく改善していくべきか、集中して改善していくべきか迷った時に思い出そう。
[ 読書ノート ]
東急ハンズ 公式 Twitter アカウント @TokyuHands 担当者(中の人)による、東急ハンズ流企業 Twitter アカウントの運用についての本。
Twitter はコミュニケーションツールであるとして、コミュニケーションを通じたブランディングを目的としてどのように取り組んでいるかが本書では紹介されている。Twitter 特有のスラングには解説が添えられており Twitter に詳しくない人でも理解しやすい。
友達感・リアルタイム感など、フォロワーとの関係性とコミュニケーションを大切にして運用していくためのポイントが盛りだくさんだ。特に同様のスタイルを目指している企業 Twitter アカウントの担当者にとって大いに参考になる1冊だ。
本書を参考にしても、中の人の個性を出していけば @TokyuHands とはまた違った愛されるアカウントになっていくだろう。
セガグループ・東急ハンズ・キングジム・井村屋・タカラトミー・タニタの企業 Twitter アカウントを運用している中の人にスタンスや事例などを伺いまとめた『自由すぎる公式SNS「中の人」が明かす 企業ファンのつくり方』(記事)では他のコミュニケーション重視の他の Twitter アカウントの話も書かれているので合わせて読むのがおすすめ。
Instagram や Facebook などソーシャルメディア毎に特性があり、SNS 運用にはそれぞれに合った適任者が必要だと本書では述べられている。
つまりはコミュニケーション重視の Twitter アカウント運用にも担当者の向き不向きがあるという訳ではある。『シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略』(記事)で述べられているようなスタイルなどもあるので、ブランドと担当者に合わせてアカウント運用方針を立てていくのがベターだろう。
[ 読書ノート ]
フォッグ行動モデルの BJ Fogg 氏が書いた行動デザインについての本。原題は Tiny Habits: The Small Changes That Change Everything だ。良書なのに「超大全」などと安っぽいイケてない邦題がつけられているのが非常に残念だ。実際内容も習慣についての大全ではない。BJ Fogg 氏の本だと気づかなかったら買っていなかった。
今回は「フォッグ行動モデル」を調べていて BJ Fogg 氏自身が書いた本だと知り購入したのだった。
本書は BJ Fogg 氏が「人生を変えるシンプルな方法をデザインすることを目的」とて考案した「行動デザイン」システムについて述べられている。「行動をデザインする」という言葉がかっこいい。しびれる。
フォッグ行動モデルは行動デザインの主なモデルの1つとして取り上げられて詳しく説明されている。習慣化というテーマの中での説明だが、消費者行動モデルとしての理解にも十分つながった。
フォッグ行動モデルを基礎とした習慣化メソッドとしてのタイニーハビットは「小さな行動」を実践していくという点で、『小さな習慣』と通ずるものがある。
『小さな習慣』ではモチベーションに頼らず意志の力を使うとしていたが、このモチベーションと切り離された意志の力というのが分かりづらかった。
タイニーハビットでは行動を起こすことについてフォッグ行動モデルの3要素(モチベーション・能力・きっかけ)で説明されており、しっくりきた。
邦題が残念な翻訳書ではあったが、フォーマットはとても見やすくわかりやすかった。過不足なく強調・囲み表現されていて自分でハイライトしていく必要がなく、それでも後で読み返すのに困らなかった。
強調だらけの本は、Kindle で学習用に自分でハイライトしにくいというのがあるのだけれど、本書は特に困らなかった。
何度も読み直しやすい良い本だ。
アイデアを生み出すプロセスについて学ぶのにデザイン思考についてきちんと理解しておきたいと思い、デザインコンサルティングファームである IDEO の CEO ティム・ブラウン氏の著書『デザイン思考が世界を変える〔アップデート版〕イノベーションを導く新しい考え方』を読んだ。
本書では主にデザイン思考によるイノベーションの取り組み事例を豊富に紹介しながら、デザイン思考という考え方について熱弁されている。IDEO におけるデザイン思考についての思想・哲学について感じることができた。具体的なデザイン思考のプロセスや方法については本書では説明されていないので、実践するには別の書籍をあたる必要があり。
まずチクリと刺してから「もっとデザイン思考で考えねばならぬ」「IDEO ではこんなことをやってみている」といった書き方が随所にあって、ちょっとしんどいところもあり読み終わるまでに時間がかかってしまった。
[ 読書ノート ]
Naney (なにい) です。株式会社MIXIで SNS 事業の部長をしています。
※本サイトの内容は個人的見解であり所属組織とは関係ありません。